熟年離婚だ!不動産を渡すのは離婚前か離婚後か?譲渡所得、贈与税の関係。

定年離婚、熟年離婚などという言葉があります。

定年を迎え、老後を配偶者とゆっくり過ごそうか、などという期待をしていたところ、配偶者から離婚を切り出される・・・

巷の話として、例に出されるのが「妻から、定年するのを待っていました。離婚してください。」と言われた男性の姿です。

新聞や雑誌などに、哀れな男性にならないために・・・などという記事が載ったりしています。

そのようにならないように、祈りましょう!

そうは言っても・・・・

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離婚するにあたって「不動産を配偶者へ渡さなければならない!」となったら・・・

そのようなことになったら、どうしましょうか?
いろいろな大変ですが、渡すことになったら、その不動産をいつ渡すか? です。
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①離婚の前に渡すか?
②離婚の後に渡すか?

(質問)もめているときに、何でそのようなことを聞くのですか?
それが、何か問題があるの?

(回答)実は、税金に影響があるのです・・・。


○不動産を、離婚前に移転する場合と離婚後に移転する場合で、それぞれ検討します。


 ●離婚前に不動産を移転する場合(生前贈与)

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◎1 贈与税 (財産を受ける者)
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(原則)

贈与税は、もらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、不動産の評価額が 110万円を超えるなら不動産を譲り受けた者が贈与税を支払う必要があります。


(夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

したがって、この特例を利用できれば、更に 2,000万円まで贈与税の支払いが不要となります。

つまり、暦年贈与の基礎控除110万円と特例の 2,000万円の合計の 2,110万円までは贈与税がかかりません。

※この特例を用いる場合の手続きとしては、関係書類を添えて、申告書の提出が必要です。


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<特例を受けるための適用要件>

(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

(2)配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

(3)贈与を受けた年の翌年315日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

()1「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋で国内にあるものをいいます。

()2配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
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※詳細は、国税庁の以下のページをご参照ください。
タックスアンサーNo.4452?夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除



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◎2 譲渡所得(財産を渡す者)
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不要です。


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◎3 不動産取得税
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不動産を譲り受けた者へ不動産取得税が課税されます。


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◎4 登録免許税
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不動産の移転登記を行う必要があります。その際、登録免許税を法務局に納入しなければなりません。

離婚協議書を作成する際は、誰が登記に要する費用を負担すべきか、明確に合意をしておく必要があります。


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●離婚後に不動産を移転する場合(財産分与)

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◎1 贈与税 (財産を受ける者)
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離婚により相手者から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。


これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。

ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。
①分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
 この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。
②離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
③この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
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※詳細は、国税庁の以下のページをご参照ください。
タックスアンサーNo.4414?離婚して財産をもらったとき


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◎2 譲渡所得(財産を渡す者)
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取得した時の価格より譲渡した時の価格が高い場合には、不動産を譲渡した者へ譲渡所得税が課税されます。

「居住用財産」の譲渡による所得には、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

しかし、夫婦間の譲渡には、この特例が適用されません。

ところが、離婚が成立したあとであれば夫婦関係はないわけですから、離婚後の財産分与であれば、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が適用されることになります。


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◎3 不動産取得税
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法律上は不動産を譲り受けた者へ不動産取得税が課税されます。

しかし、離婚に伴う財産分与の場合には、不動産取得税は課税されない場合があるようです。
※詳しくは各都道府県税事務所へお尋ねください。

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◎4 登録免許税
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財産分与を原因とする、所有権移転登記を行う必要があります。その際、登録免許税を法務局に納入しなければなりません。

離婚協議書を作成する際は、誰が登記に要する費用を負担すべきか、明確に合意をしておく必要があります。

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離婚するにも税金が関係します・・・
有利な方を選びましょう・・
・・・選べるような状態でしたら・・・


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